みたいよみたいみたよんだ

みたりよんだりきいたりしたものをいうブログ

【読んだ】異能機関

ミネソタ州ミネアポリスに暮らす12歳の少年ルークは、両親こそごく平凡だが、優秀な子供の特待校に通う神童だ。彼にはちょっとした特殊能力があった。ふとしたときに、周りのごく小さな物品をふれることなく動かしてしまうのだ。と言っても、それは他人が気づくほどのことでもない。

一流大学MITの入学内定を勝ち取ったルークだが、ある夜、3人の不審な男女が眠る彼をかどわかす。目覚めたルークが見たのは、自分の部屋そっくりにしつらえられているが、何かが違う一室だった。扉の外は自宅とは似ても似つかぬ、古びた大きな施設。そこには様々な少年少女が拉致され、自室と似た部屋を与えられて戸惑いながら暮らしていた。

目的も知れぬこの〈研究所〉で、残忍なスタッフや医師に、気分の悪くなる注射や暴力的な検査を繰り返される少年少女たち。彼らの共通点は「テレキネシス」か「テレパシー」の超能力を持っていることだった。

ルークは黒人少女カリーシャ、反抗的な少年ニック、幼く泣き虫だが強いテレパシーをもつ男の子エイヴァリーらと知り合うが、一定期間検査を受けた子供はひとり、またひとりと〈研究所〉の別棟〈バックハーフ〉へ連れ去られ、決して帰ってこないのだった。ルークはこの不穏な施設からの逃亡計画を温めはじめる――。

あらすじからして面白そうだし、キングだし、阿鼻叫喚な展開控えめだと良いなと願いつつ、覚悟して読んだ。

子ども同士の友情にじんわりしながら、残酷な検査や展開には胸が痛んだ。かわいそう。

子どもに酷いことをしている施設の人間が、はやくしっぺ返しを喰らうがいいと、ページをめくる手が止まらなかった。すごく面白かった。

そして超能力を巡る組織の大きさに慄いた。

陰謀説論者のアニーが良かった。映画インディペンデンスデイで、エイリアンに拐われて実験された経験を持つセスナ機乗りのお父さんを思い出した。