扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」を丸暗記されることで、なんとか“普通の子”に見えるようにと訓練してきた。だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちになってしまう。そんなとき現れたのが、もう一人の“怪物”、ゴニだった。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく―。怪物と呼ばれた少年が愛によって変わるまで。
冒頭で主人公が、この物語は悲劇か喜劇かわからない、と脅すので、
悲劇はいやだ、悲劇はいやだ、と祈りながら読んだ。
ゴニのお父さん、偽者を病床の妻の所へ連れて行ってはいけない。
予想通りの子でなかったという理由で、存在を否定されたゴニの気持ちを想像すると、そりゃあ荒むさ、と思った。
でもそのおかげでユンジェと知り合えて、相互作用莫大だったわけだけど。
読み終わった後はいい気分になる話だった。読んで良かった。