夫の字で「死後開封のこと」と書かれた封筒。その手紙を見つけたときから、セシリアの家庭に暗雲がたれこめ始める。そのころテスも、夫と従妹が愛し合っているとの告白に動顛していた。テスは息子を連れ実家へ帰るが、そこで出会ったのは殺された娘を忘れられない老婦人レイチェルだった。開けてはいけない「パンドラの箱」を開けてしまった女性たちを描くトリッキイなミステリ。
同じ作者の「ささやかで大きな嘘」もそうだったけど、登場人物にサイコパスが出て来ない。
みんなその辺にいそうな人物ばかりなので、同情も共感もしやすい。
サイコパスがあれこれするミステリーも好きだが、サイコパス頼りな展開はだめだ。
語り口が軽快で、深刻さがないのも好き。
物語の終結の仕方も私は好きです。