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【聴いた】むらさきのスカートの女

近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、気になって仕方のない“わたし”は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する。『あひる』、『星の子』が芥川賞候補となった話題の著者による待望の新作中篇。

むらさきのスカートの女と友達になりたい、きいろのカーディガンの女が、時には微罪を犯しながら、ひたすらむらさきのスカートの女を観察する話だ。

友達になりたいのなら、そこで話しかけりゃあいいのにー、と聴きながらむずむずした。

冴えない見た目の、陰気だったむらさきのスカートの女が、徐々に自信をつけて明るくなる様までは微笑ましかったが、そのあとは気の毒だったかな。まあ色々あったが、きいろのカーディガンの女の大荷物を持って、その後はホテル清掃業を経て培った力を使い、どこかでまた逞しく生きてるに違いない。

絶対、こいつ(きいろのカーディガンの女)やべえ!と思って言うとおりにしなかったと思う。

語り口が素直なので、どろどろ感は感じなかった。素直な語り口同様、この物語もあれこれ解釈せず素直に受け止めるのがいいのだろうなと思った。面白かった。

あと表紙は気味が悪いので、当初は耳で聴くのにだいぶ迷った。不穏な話を耳元で聴かされるって嫌だと思ったのだ。