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【聴いた】ちいさこべ

茂次は大工の若棟梁だが、川越に出仕事に行っている間に、江戸で起こった大火事で両親も店も失ってしまう。自力でどうにか家業を再興させようと息巻くが、同じ火事で焼け出されて親を失ったおりつを放っておけず、炊き出しの世話などをさせる名目で彼女を引き取ることを決める。
だが、おりつもまた火事で孤児になってしまった子供たち十二人を放っておけずにいた。さすがに茂次も子供たち全員を引き取る事には難色を示したが、子供たちの世話をしてくれる人も見つからず、面倒を見ることにするのであった。 だがある日のこと、福田屋久兵衛が茂次の元に町方同心の中島市蔵を連れて来た。その用件は「孤児を大勢養っているのは不法だ」というのである。孤児の始末は元の町内に引き取らせるか、お役人に任せるかのどちらかにしなければならない、このままではお上にも憚りであるし、町内に迷惑にもなる……それを聞いたおりつは割って入り、
「町内の迷惑になるとはどういうことなのか」
と詰め寄るのだが……

オーディブル初体験で、犬の散歩しながら聴いて歩いた。

もともと、山梨小菅村日帰り温泉のマンガコーナーに、望月峯太郎作で「ちいさこべえ」が置いてあった。望月峯太郎は、バタアシ金魚とお茶の間が好き。でも座敷女とか怖いやつは苦手。気になったが読むタイミングがなく、山本周五郎の原作そのものにも意識がのぼった。

オーディブルやってみようまいかと思った時に調べていたら、ちいさこべをみつけたのだった。

茂次は、不器用ながらも人間性の良さに惹かれるね。むしろ不器用さがいいね。両親である、故・留吉夫婦は本当にいい育て方をしたんだろうなと、その親御さんの在りし日の姿を想像したりした。

また、おりつとおゆうは、意外にもそこまでバチバチではなく、江戸の女の慎ましやかさを知った。

あと、ぶつね。おりつも子供の尻をぶったりするが、心情察して理解可能。茂次がおりつをぶったシーンでは、びっくりして、散歩犬の手綱をぎゅっと握ったまま、口が開け、「はぁっ!」と言ってしまった。

おりつを慕う、孤児のきくじ(耳で聴くだけなので、漢字がわからない)に対しては、疑ってごめんねと、おりつとともに涙した。

劇的な展開があるわけでないのに続きが気になるような、ずっと聴いていたい物語だったけど、なんだか幸せな予感を漂わせてふと終わった。

マンガを買ってみようかなー。