林ちひろは、中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく…。野間文芸新人賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされた著者の代表作。
1時間程度で読めてしまうくらい、すっきりとした文章なのに、情景がものすごく伝わる。
面白かった!
ちひろの面喰いさや、豪華な仕出し弁当への執着、なべちゃんとのやりとりなどなど、かなりキャラクターも愉快。
ずっと読み続けたかったけど、ぶつっと終わった。
すべては両親の、ちひろへの愛から始まった信仰心。
ナニカヘンダと思っても、真っ向から否定することは、自身の存在を脅かすことになっちゃうよなー、と読みながらぐるぐるした。
お父さんとお母さんは、一体何を思い、最後のシーンに至っているんだろうか。
叔父さん叔母さんとどんな話し合いがあったんだろう。
ちひろ目線で進む物語は、生活に憂う様子はなく、(かっぱ事件はあったものの)いい友達に恵まれ、それなりに楽しそうな暮らしぶりに見えるが、
叔父さん叔母さんいとこには、そうは見えてなさそう。
視点が変わると、がらりと違うお話なるんだろうな。