校舎の片隅に、使われていない地下室を見つけた高校生たちが、面白半分に、そこに食料を持ち込んで閉じこもろうということになった。発案者はマーティン、成績抜群ながら、おそるべきいたずらを思いつき、実行しては教師すら出し抜く、頭の切れるカリスマ。彼はこれを「人生の真実を知る実験」と呼び、五人の男女を中に残して、三日後に開けると言って外から鍵をかけた。最初は、ちょっとした秘密パーティーのつもりで、酒を飲んだりして楽しんでいた五人だったが、そのうちある不安がきざしてくる。鍵が開けられなかったら?不安は現実となる。三日経っても鍵は開けられない。食物も尽き、水道も止められてしまった。恐怖がつのってゆく…。大学生の新鋭が描くサイコスリラー。
ネタバレ
主人公リズの語りによると、マーティンのガールフレンド「リサ」のおかげで、5人は無事生還。
リズの手により「体験」のその後の日常が描かれているが、実は現実ではない。
現実ではリズ以外の4人は穴倉のなかで死んでいて、リズは恐らく精神病院の患者となり、長い沈黙を経てこの物語を綴ったことが、結末でわかる。
ここで物語の信頼性が一気に崩れる。
「体験」が実在したのはどうやら本当。
語られている「体験」の内容に関してはリズの綴ったものなので、虚実妄想入り乱れているかもしれない。
そして物語のなかで、「体験」の「実際」が、どのように始まり、どのように終わったのかは、明確には示唆されない。もどかしい!教えてよ!
マーティンの存在はおぼろげ。
マーティンという人物は本当に存在したのか?
(結末でリズとリサは同一人物と示唆されている)
全てはリズの妄想なのか。
リズこそが事件を引き起こした犯人なのか?
はたまた、全ての事実を見越して、今もマーティンが、誰にも尻尾を掴まれていない状態で、
サイコパス生活を享楽しているのかもしれない。という怖い想像も出来る。(リズはマーティンを出し抜けなかったということ)
同じ作者の「ソフィー」もそうだったけど、信用出来ない語り手の物語なので、あれこれと結末について思考が張り巡らされる。
面白かったけど、すっきりしない。
ソーラ・バーチ主演で映画化になってたんだね、公開当時を覚えてる!怖そうと思って観なかったけど。ホラーかと思ったんだ。ホラーは苦手。
↓映画化に伴い少し改訂されたものらしい