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【読んだ】ささやかな手記

目覚めると、鎖をつけられ、地下室で監禁されていた―。ある事情から、人目を避けて南フランスの田舎の民宿に滞在していたテオは、周囲の山中を散策していたところ、廃屋めいた家に暮らす老兄弟によって囚われの身となってしまう。地下室の先住者リュックは、彼にこう告げる…「地獄にようこそ」。あらゆる農作業と重労働、家事に酷使され、食べ物もろくに与えられず、テオは心身ともに衰弱していく。ある日、老兄弟の隙をついて脱出を試みるが。フランス推理小説大賞、813賞の二冠に輝いた傑作サスペンス!

寝る前にちょっと、と思ってたのに一気読みしてしまった。

まるで映画を観ているような。

山野原の耳が痛くなるような静けさと、そこに潜んでいた狂気。

暴力と自然の対比。

そして自然もまた美しく、残酷だ。

主人公はろくでなしのようだけど、育った背景を考えると、同情してしまうし、肩入れしてしまう。

少なくとも、老兄弟よりはしごくまっとう。

私は医師の言う「回復のチャンス」を信じたいんだけど、楽観的すぎるかなー。