21世紀目前、福美は困窮していた。抱えた娘の父親は行方知れず、頼る実家もなく、無職。
ただ、母乳だけはあまるほど出続ける。
それに目を付けた、母乳を欲しがる家庭に母乳を届ける活動をしているという廣田に福美はナニィ(乳母)として雇われることに。
すると、かつての同級生の政治家一家から、ナニィの指名が入り……。ひとはいつ「母」になるのか。
母乳によって子を手放した女と母乳によって母となり得た女の視点から、母性を描いたサスペンスフルな長編。
校舎の片隅に、使われていない地下室を見つけた高校生たちが、面白半分に、そこに食料を持ち込んで閉じこもろうということになった。発案者はマーティン、成績抜群ながら、おそるべきいたずらを思いつき、実行しては教師すら出し抜く、頭の切れるカリスマ。彼はこれを「人生の真実を知る実験」と呼び、五人の男女を中に残して、三日後に開けると言って外から鍵をかけた。最初は、ちょっとした秘密パーティーのつもりで、酒を飲んだりして楽しんでいた五人だったが、そのうちある不安がきざしてくる。鍵が開けられなかったら?不安は現実となる。三日経っても鍵は開けられない。食物も尽き、水道も止められてしまった。恐怖がつのってゆく…。大学生の新鋭が描くサイコスリラー。
ネタバレ
主人公リズの語りによると、マーティンのガールフレンド「リサ」のおかげで、5人は無事生還。
リズの手により「体験」のその後の日常が描かれているが、実は現実ではない。
現実ではリズ以外の4人は穴倉のなかで死んでいて、リズは恐らく精神病院の患者となり、長い沈黙を経てこの物語を綴ったことが、結末でわかる。
ここで物語の信頼性が一気に崩れる。
「体験」が実在したのはどうやら本当。
語られている「体験」の内容に関してはリズの綴ったものなので、虚実妄想入り乱れているかもしれない。
そして物語のなかで、「体験」の「実際」が、どのように始まり、どのように終わったのかは、明確には示唆されない。もどかしい!教えてよ!
マーティンの存在はおぼろげ。
マーティンという人物は本当に存在したのか?
(結末でリズとリサは同一人物と示唆されている)
全てはリズの妄想なのか。
リズこそが事件を引き起こした犯人なのか?
はたまた、全ての事実を見越して、今もマーティンが、誰にも尻尾を掴まれていない状態で、
サイコパス生活を享楽しているのかもしれない。という怖い想像も出来る。(リズはマーティンを出し抜けなかったということ)
同じ作者の「ソフィー」もそうだったけど、信用出来ない語り手の物語なので、あれこれと結末について思考が張り巡らされる。
面白かったけど、すっきりしない。
ソーラ・バーチ主演で映画化になってたんだね、公開当時を覚えてる!怖そうと思って観なかったけど。ホラーかと思ったんだ。ホラーは苦手。
↓映画化に伴い少し改訂されたものらしい
犯罪歴のある患者を収容するビーチウェイ重警備精神科医療施設は、不穏な空気に覆われていた。かつて救貧院だったここには、昔の職員の亡霊が出没するという噂があった。そこへ自傷行為の絶えなかった患者が死亡したことから、患者ばかりか施設の職員までもが怯えているのだ。上級職員のA・Jは、最近退院したばかりのある患者が舞い戻ったのではないかと疑うが上層部を気にする上司は事態への対応を渋る。悩んだ末にA・Jは独断で警察のキャフェリー警部に相談するが…エドガー賞受賞作『喪失』に続く話題作。
いやー、キャフェリーとフリーにはやっぱりイラつくなあ。ゆるせん。倫理よ。ばちあたれ。
今回のがんばったで賞はAJ。アイザックもがんばった。モンスターマザーは好き。
犬好きに悪い奴はいない。