カンヌ映画祭「ある視点」賞受賞映画「ボーダー二つの世界」原作所収!
人の罪をかぎ取る力を持つ主人公が新たな世界に出会う「ボーダー二つの世界」、ラヴクラフト的恐怖の「坂の上のアパート」、懐かしさと恐怖の共存する掌篇「紙の壁」、おばあちゃん版「テルマ&ルイーズ」ともいえる「マイケン」、「ぼくのエリ 200歳の少女」原作『MORSE─モールス─』の続篇「古い夢は葬って」……。
「スウェーデンのスティーヴン・キング」の異名をとるリンドクヴィストの手腕を堪能できる短篇集。
「MORSE─モールス─」の続篇、
「古い夢は葬って」目当てで借りた!
作者さん、ありがとう!私もこういう今後を望んでいた!
「モールス」では、オスカー少年が変態男ホーカンのあとを継ぐ。的な、解釈をちらほら読んで悲しみのダンス。
しかし、作者はそれを、そうじゃないよとあとがきで明言してました。嬉しみのダンス!
オスカー、エリ、よかった!
(しかし食料としての血の収集は必要なんでしょうからアレですが)
この本自体は短編集。
分類的にはホラーになるんでしょうが、生と死の「すこしふしぎ」を扱った感じ。
全体的に北欧の冬のような、スーッとした寒さを感じる(行ったことはない)。
「紙の壁」
やって来た何かは、お父さんだったのでは?
前文に箱の中であれこれ想像して、箱の外を思ったシーンがあったじゃない。
それがフリ。少年の逞しい想像力の賜物な気がするんだけども、どうか。
訳者あとがきでは、「何か」は異形とし、異形も箱と少年を「異形」と捉えているのだと解釈していた。うーん、そうなのかな。
「最終処理」
「亡者の取り扱い」という未訳の続編。
思念フィールドとは?
人物の相関図含め、未訳の本編を読まないとわからないことが多い。
貸し出し返却期日が迫り、猛スピードで読んだせいか?
しかし、他の作品群に比べて、登場人物が素敵。親近感が持てる。明るくて良い。
この作者の書く作品の舞台は、「ブラッケベリ」であることが多い。
キングでいう、「キャッスルロック」のようなものかと思っていたら、
スウェーデンに本当にあるんですね、ブラッケベリ。
- 作者: ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト,山田文,池本尚美,菊池由美,高橋亮,内藤典子,名取祥子,長尾莉紗,草野香,中村有以,田村加代
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/09/19
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る